2026-08-28
泥のなかの花
夏のチラシで見つけた「ハス一般公開」の文字。
近所の大学が研究用に栽培しているものらしい。
普段の私なら「ハス観賞はもう少し大人になってからの趣味かな」とスルーするところだが、今回は違った。
少し前、大切な親戚の病を知ったばかり。
かける言葉を探すなかで、頭に浮かんだのがハスの花だった。
濁った泥を吸い上げるほど、美しい大輪を咲かせるという。
その凛とした姿をどうしても写真に収め、彼女に届けたかったのだ。
ジリジリと照りつける日差しの中、会場へ。
コンテナで育つ姿は思い描いていた「風情ある沼」とは少し違って拍子抜けしたが、咲き誇る花自体はハッとするほど美しい。
夢中でシャッターを切り、祈るような気持ちで写真を送った。
「絶対治して、今よりもっと幸せになるね」
届いた返信に、胸が静かに温かくなる。
過酷な状況さえも糧にして、彼女はきっと誰よりも美しい花を咲かせるはずだ。
……いや、すでに大きな花を咲かせ始めているのかもしれない。
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